コンクリート作業員とは？未経験でも正社員で働ける建設業の実態と待遇

建設業界は日本の社会基盤を支える重要な産業でありながら、長年にわたり人手不足が深刻化しています。その中でも、「コンクリート作業員」は現場の要となる職種の一つです。近年、未経験者や第二新卒、異業種からの転職希望者からも注目を集めています。本記事では、この仕事の実際の業務内容、必要なスキル、収入・待遇、キャリアの可能性について、公開データと労働実態に基づき、客観的に解説します。

建設業の人手不足は深刻——コンクリート作業員の需要が高まる背景

厚生労働省が2024年1月に公表した「有効求人倍率」によると、建設業の求人倍率は4.52倍（全産業平均：1.31倍）と、他の業種を大きく上回っています。また、国土交通省の「建設業労働力確保戦略」では、2025年までに約30万人の新規労働者の確保が必要と試算されています。

こうした背景から、建設現場では「即戦力」だけでなく、未経験者でも長期的に育成できる人材の採用が進められています。特に、コンクリート工事は建築・土木のあらゆる現場で必要となるため、作業員の需要は全国的に安定しています。

コンクリート作業員の主な業務内容

コンクリート作業員（正式名称：コンクリート圧送工・型枠大工補助など）は、建築現場でコンクリートを流し込む（打設）前の準備から、養生・片付けまでをチームで担当します。具体的な業務は以下の通りです：

• 型枠（コンクリートの型となる木や鉄製の枠）の設置・撤去
• コンクリートのホース操作・打設補助
• 打設後の表面ならし（「ならし」作業）
• 養生シートの設置・散水管理
• 現場の清掃・資材整理
• 毎日の安全確認（KY活動）への参加

作業は屋外が多く、天候や現場条件に左右されるため、一定の体力と集中力が求められますが、一人で完結する仕事ではなく、複数人での連携が基本です。

資格・経験は必須？未経験でも働けるのか

多くの現場で、コンクリート作業員に特別な資格や学歴は不要とされています。入社時に「玉掛け」や「足場組立」などの資格が求められることもありますが、これらは入社後に会社が支援して取得するケースが一般的です。

民間人材サービスの調査（2023年）によると、建設業の新規採用者のうち、約70%が業界未経験者であり、その多くがOJT（職場内訓練）を通じて6か月以内に現場対応可能となっているとのことです。

ただし、以下のような資質が求められる傾向があります：

• 基本的な体力（10kg程度の資材を持ち運べる）
• 協調性（チームワーク重視の現場が多いため）
• 安全意識（現場は「安全第一」が徹底される）

収入と待遇：正社員としての働き方は？

建設業界では、近年「正社員での雇用」が促進されています。特に2020年代以降、労働基準監督署の指導や「働き方改革」の影響で、日雇い・短期雇用から正社員への移行が進んでいます。

給与水準（参考：厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2023年）

• 賞与：年2回が一般的（平均で年間2～4ヶ月分）
• 現場手当・資格手当・残業代（法定内）が加算される場合が多く、都会部や大型現場では初任給25万円以上の求人も見られます。

福利厚生の実態

キャリアの可能性：作業員で終わり？それとも…

「現場作業員＝キャリアアップがない」と思われがちですが、実際には現場経験が評価される業界です。

特に「1級・2級建築施工管理技士」などの国家資格は、現場経験が受験資格の要件となるため、作業員としての経歴がキャリアアップの足がかりになります。

安全と働きやすさは改善傾向に

過去には「危険」「過酷」といったイメージが強かった建設現場ですが、近年は法改正や業界団体の取り組みにより、安全・衛生環境が大きく改善されています。

• 労働災害件数は過去10年で約30%減少（国土交通省データ）
• 熱中症対策：WBGT（暑さ指数）に基づく作業中止基準の導入
• 高所作業：安全帯の使用が義務化、足場の安全点検が徹底
• 若手・中高年問わず、働き続けられる環境整備が進む

まとめ：安定と実力主義の世界

一方で、屋外労働・体力負荷・天候依存などの課題もあるため、自分に合った働き方かどうかを慎重に見極める必要があります。

興味を持った場合は、ハローワークや建設業界専門の求人サイトで「正社員」「社会保険完備」「未経験者歓迎」のキーワードで検索し、複数の企業の求人内容を比較することをおすすめします。

※本記事は、厚生労働省、国土交通省、民間調査機関等の公開情報を基に作成されています。
※特定企業の宣伝・勧誘を目的とした内容ではありません。
※労働条件・給与・休日等は企業・地域・職種により異なります。応募の際は各求人内容を確認してください。